危険! ポンプの締切運転

ポンプ

こんにちは。

みなさんは、ポンプの締切運転についてご存じでしょうか。ポンプの締切運転は一歩間違えるとポンプを破損させてしまう危険な運転の状態です。ポンプの周りの系統を設計する場面や、実際にポンプを運転する場面では、ポンプの締切運転について知っておく必要があります。

この記事では、ポンプの締切運転について解説します。

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ポンプの締切運転とは

ポンプの締切運転とは、ポンプ出口弁を閉止するなどしてポンプの流量をゼロにした状態での運転のことを言います。
出口弁を閉止した状態でポンプを運転すると、ポンプの回転により圧力はかかります、流体が流れる通路がないので、流量がゼロの状態になります。

締切運転は流量ゼロ(QH線図)

ポンプの締切運転をポンプのQH線図で表すと、下のように流量ゼロの点での運転を意味します。

QH線図に示すとおり、渦巻ポンプの場合は流量が少なくなると揚程が大きくなる傾向がありますので、締切運転では吐出圧力が最も高い状態です。
しかし、流量が出ていないため、ポンプとしては有効な仕事をしていない状態と言えます。

ポンプの中では何が起こる?

締切運転の状態では流量が出ていないため、ポンプとして有効な仕事をしていません。しかし、下の図の通り、流量がゼロでも軸動力がゼロにはなりません。

それでは、この軸動力は何に使われているのでしょうか。
実は、ポンプに与えられたエネルギーは、ほとんど損失(エネルギーロス)に使われます。

損失やエネルギーロスの具体例は、以下のようなものです。

  • 内部流体の温度上昇
  • 振動/騒音

温度上昇により内部流体が気化し、キャビテーションや吸い込み不良となる可能性があります。あるいは、ポンプの振動が増加し、最悪の場合は、ポンプの破損に至る場合もあります。
以上のように、ポンプの締切運転は、有効な仕事をしていない上に、ポンプの破損の可能性がある非常に危険な運転ですので、避ける必要があります。
軸動力の大きなポンプは温度上昇が急速に進みますので、特に注意が必要です。

締切運転を回避するには

ここからは、ポンプの締切運転を避けるための方法について解説します。

ミニマムフローの設置

ポンプの締切運転を回避するため、ポンプ出口の内部流体の一部を強制的にポンプの入り口に送り返すことによって流体を循環を作る方法があります。ポンプを連続運転をするたに最低限必要な流量を流すための配管という意味で、ミニマムフローと呼びます。

ミニマムフローを系統に設置しておくことにより、現場で運転員の負担が少なく、安心してポンプを運転することができます。系統の設計者にとって考慮が必要な項目です。

取扱説明書の確認

ポンプの取扱説明書に締切運転時間の制限が記載されている場合があるので事前に確認しましょう。
ポンプを運転する場合は、取扱説明書で制限された時間を超えて締切運転をしないように気を付けましょう。

ポンプの起動時に気を付けること

ポンプを現場で起動する場合、ポンプを損傷させないことと同時に、ポンプの周りの機器にも配慮する必要があります。ポンプの出口弁を全開にした状態でポンプを起動すると、急激な流量の変化により周囲の機器に無駄に衝撃を与え破損させてしまうケースもあります。

一般的な渦巻ポンプの場合、数10秒~数分程度の締切運転であれば即座に破損するということはない場合があります。詳細は取扱説明書を確認した上で、次のように起動操作を行うのが一般的です。

  1. 出口弁を締める
  2. ポンプを起動する
  3. 圧力が上昇し、安定するのを確認する(短時間)
  4. ゆっくり出口弁を開けていく

参考になればうれしいです。
ご指摘・ご質問・ご要望などあれば遠慮なくお問い合わせください。

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