往復ポンプとは何か?原理と種類、ピストンとプランジャーの違いも解説

ポンプ

みなさんこんにちは。

みなさんは、「往復ポンプ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
身近なところでは、井戸水を汲み上げる昔ながらの井戸ポンプや、灯油をシュコシュコ汲み上げる灯油ポンプなどは昔ながらの往復ポンプの一種です。

この記事では、往復ポンプとはどんなものか、その原理と種類を解説します。

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往復ポンプとは?

往復ポンプの「往復」とは、行って帰ることです。(文字通り)
箱根駅伝の往路と復路のように、行った道を戻って同じところへ帰るという動作が「往復」です。

往復運動」というと、以下の動画のように、上下や左右などのある決まった道の上を、行って帰ってを繰り返すような動作です。

引用元:youtube (S.CRAFT)


つまり、「往復ポンプ」は、上下や左右などのある決まった道を行って帰ってを繰り返す動作により、流体を運ぶしくみを持つポンプのことを言います。

「往復ポンプ」は、英語では Reciprocating Pump (レシプロケーティングポンプ) と呼ばれます。reciprocatingとは往復の意味で、略して「レシプロポンプ」とも呼ばれます。

車好きの方なら馴染みがあるかと思いますが、ロータリーエンジンとの比較でレシプロエンジンという言葉を聞くことがあります。この場合も、レシプロエンジンは往復運動を持つエンジンという意味で使われています。

参考:ロータリーエンジン


往復ポンプの原理

ここからは、往復ポンプの原理について解説していきます。
理解しやすいのは、昔ながらの井戸ポンプや灯油ポンプなどの動作を理解することだと思います。

井戸ポンプの動作原理は、以下のアニメーションがわかりやすいです。

引用元:ウィキペディア


井戸ポンプの動作原理は以下の通りです。

  1. レバーを下に動かすことにより、ピストンが上昇します。この時、ピストン上部の水を汲み上げて排出すると同時に、井戸の中の圧力が下がるため、井戸から水を吸い上げます。吸い上げられた水はポンプ下部の弁が閉まることにより、ポンプ内に保持されます。
  2. レバーを上に動かすと、ピストンが下降します。ピストンには弁があり、ポンプ内に保持している水は弁を通ってピストンの上部に逃げます。


灯油ポンプの動作原理は以下の通りです。

  1. ポンプを押して空気を排出
  2. 元に戻る力で灯油を吸い上げる
  3. ポンプを押して灯油を排出、そしてサイフォン形成
  4. 止めるときは空気口


灯油ポンプの場合はサイフォンの原理を応用しているため、サイフォンが形成されてからは往復運動の必要がなくなります。また流れを止めるために空気口を開けることになり、このあたりは井戸ポンプとは取り扱いが異なることとなります。しかし、吸い上げる・吐き出すという基本的な動作原理は同じです。


往復ポンプの動作原理のポイントは以下です。

ポイント1:容積の変化で流体を出し入れ

上の井戸ポンプと灯油ポンプでご紹介しましたが、井戸ポンプと灯油ポンプでは、以下の動作が動力となっています。

  • 井戸ポンプの場合はピストンを上下に動かして位置を変えることにより、吸込みと吐出しを行っている。
  • 灯油ポンプの場合はポンプを手で押したり放したりして変形させることにより、吸込みと吐出しを行っている。

以上のように、往復ポンプは、ポンプ内部の容積の変化を利用して流体吸込み・吐出しを行うのが1つ目の特徴です。

容積の変化を使って流体の吸込み・吐出しを行うポンプを「容積式ポンプ」と呼び、往復ポンプは「容積式ポンプ」の一種であるということになります。

なお、容積式ポンプには往復ポンプの他に、回転ポンプがあります。

ポイント2:2つの逆止弁で流れをコントロール

1つ目のポイントは容積変化ですが、単に容積を変化させただけでは、流れはできません。
例えば、井戸ポンプで下から吸い上げた水が再び井戸に戻ってしまっては意味がありません。

容積変化で動力を与えた流体が逆流しないようにするため、往復ポンプには「逆止弁」が取り付けられています。

逆止弁は通常、ポンプの吸込み側と吐出し側に1つずつ取り付けられますので、往復ポンプは2つの逆止弁とセットになっているのが2つ目の特徴です。それぞれの逆止弁の役割は以下の通りです。

<吸込み側の逆止弁>
一度、吸込み側からポンプへ吸込んだ流体を、再び、吸込み側へ吐出すことを防ぐため。

<吐出し側の逆止弁>
一度、ポンプから吐出し側へ吐出した流体を、再び、ポンプへ吸込むことを防ぐため。


往復ポンプの種類

前述の通り、往復ポンプは容積ポンプの一種ですが、主に容積変化の方法により、以下の3つの種類に分類されます。

ピストンポンプ

ピストンポンプは、ピストンの往復運動により流体の吸込み・吐出しを行うポンプです。ピストンとは井戸ポンプで使われていたり、以下の写真のような車のエンジンで使われているものです。

プランジャーポンプ

プランジャーポンプはプランジャーの往復運動により流体の吸込み・吐出しを行うポンプです。

引用元:ユニコントロールズ株式会社

ダイヤフラムポンプ

ダイヤフラムとはゴムや合成樹脂を材料とした膜のことです。ダイヤフラムポンプは、ダイヤフラム(膜)の往復運動により流体の吸込み・吐出しを行うポンプです。

引用元:株式会社タクミナ

ピストンポンプとプランジャーポンプの違い

往復ポンプの種類について紹介してきました。ダイヤフラムは膜のことを表しており、ピストンやプランジャーとは明確に異なることがわかりますが、ピストンとプランジャーについては、場所によっては同じ意味として使われることがあります。

ピストンとプランジャーの違いに関して、分かりやすいイメージがウィキペディアにありましたので、ご紹介します。

引用元:Wikipedia

イメージとしては、ピストンは「蓋」、プランジャーは「棒」といった感覚を持っていれば違いが分かりやすいのではないかと思います。

この構造の違いにより、シール機能の場所が異なり、ピストンポンプはシール機能がピストンにあり、プランジャーポンプのシール機能は本体側にあります。また、プランジャーポンプの方がより高圧での使用に適しているといえます。


まとめ

この記事では、往復ポンプとはどんなものか、その原理と種類を解説してきました。

  1. 往復ポンプとは、上下や左右などのある決まった道を行って帰ってを繰り返す動作(往復運動)により、流体を運ぶしくみを持つポンプのこと。
  2. 往復ポンプは、容積の変化で流体の吸込み・吐出しを行う、「容積ポンプ」の中の一種。
  3. 往復ポンプは吸込み側と吐出し側の2つの逆止弁で流れをコントロールする。
  4. 往復ポンプには、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、ダイヤフラムポンプがある。

参考になればうれしいです。
ご指摘・ご質問・ご要望などあれば遠慮なくお問い合わせください。

参考:ヘイシン モーノポンプ

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