【サイフォン】手押し式灯油ポンプの正しい使い方

ポンプ

寒い日が続きますが、皆様は灯油ストーブを使われますでしょうか。
灯油を入れるために昔から使われているのが、手動の灯油ポンプ。
ホームセンターで100円ほどで手に入る、家庭の中で最も身近なポンプの1つです。
今回はこの灯油ポンプについて取り上げてみたいと思います。

手押し式の灯油ポンプは、赤い手押し部分をシュポシュポと押すことで灯油が流れますが、ワンプッシュで流れる灯油の量はせいぜい100ccほどで、たいしたことはありません。

ところが、最後までシュポシュポ押し続けないと最後まで灯油を入れられない訳ではなく、コツを掴めば始めの数プッシュだけすれば、あとは勝手に灯油が流れます。
これは、「サイフォンの原理」というもので流れています。

原理のポイントを理解すれば、灯油ポンプの正しい使い方や注意点がわかります。

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サイフォンの原理とポイント

2つの容器の間に流体で満たしたホースを渡すことで、水面の高さが同じになるように勝手に流体が流れます。これをサイフォンの原理といいます。

サイフォンの原理のポイントを詳しく紹介します。

1.高低差が流れを生む駆動力

高低差によって流れが生まれます。従い、サイフォンによる流れを作り出すには、2つの容器の液面に高低差をつけておく必要があります。
また、流し始めは高低差があるから流れますが、高低差がなくなるにつれて流れる量が減り、高さが同じになったところで流れが止まります。
サイフォンによる流れを維持するには、十分な高低差を保つ必要があります。

2.ホースの中を流体で満たす

サイフォンを形成するには、ホース内部の空気を追い出し、流体で満たす必要があります。
先述のように、高低差がつかないとサイフォンが維持できませんので、少なくともタンク液面よりも高い位置(下の図の黄色い部分)は流体で満たす必要があります。
従い、ホース先端はタンク水面より低い位置まで下げ、ホース内部の流体で満たすことになります。

ホース内部を流体で満たす方法は状況により様々です。
例えば、コップとストローであれば、ストローの中を水で満たし、先端を指先でふさぎながら水面より下げることでサイフォンが形成できます。あるいは、ストロー先端を下げておいて、口で空気を吸い込んでも良いでしょう。
今回の手押し式灯油ポンプの場合、ホースの途中にあるポンプで空気を押し出し、油を吸い込むことにより、サイフォンが形成できます。

3.空気を入れればサイフォンが壊れる

2つの容器の液面に高低差がなくなれば流体の流れはなくなりますが、高低差が残った状態で流れを止めるには、サイフォンを破壊する必要があります。
サイフォンを破壊する方法は単純で、サイフォン形成の逆の操作になります。
つまり、流体で満たされたホースに空気を入れることにより、サイフォンを破壊できます。

流体で満たされたホースに空気を入れる方法は状況により様々です。
例えば、コップとストローであれば、ストローをハサミで切って穴をあけても良いですし、ストローの先端を水面から離して空気を入れても良いです。
今回の手押し式灯油ポンプの場合、赤いポンプ部分の先端に空気を入れるためのつまみがついていますので、これを開けて空気を取り込みます。

ここで1つ注意ですが、ホースに空気を入れるとサイフォンは破壊されるものの、直ぐに流れは止まりません。これは、ホース内部に残っている流体が2つ容器のどちらかに戻って来るためです。サイフォンを破壊した後も、ホースの頂点から先端までの容積に相当する量の液体は流れてくると考え、早めにサイフォンを破壊する必要があります。

灯油ポンプの正しい使い方

サイフォンの原理が分かりました。この原理をふまえ、灯油ポンプの正しい使い方を解説します。

1.タンクの高低差を確認

タンク内の灯油の液面高さが、注ぎたい容器よりも十分に高いことを確認します。
高さが足りない場合、タンクを台の上に置くなどして高さを確保します。このとき、タンクが不安定で倒れるようなことがないように注意しましょう。

2.灯油ポンプを差す

灯油ポンプを差します。
ホースは真っすぐな方が吸込側なのでタンクに差し、柔らかい方が吐出側なので注ぎたい容器に差します。
タンク側のホース先端は液面の中に着けます。タンク側の先端が液面から出ていないか注意しましょう。
また、途中で抜けてしまったりしないようにしっかり差し込み、ホース長さが足りない場合は高さを調整するか、延長ホースを繋げるなどの工夫をしましょう。

3.空気用つまみが閉まっているか確認

前回使ったときにつまみを閉め忘れている可能性がありますので、ポンプを押す前につまみを閉まっていることを確認しましょう。

4.ポンプを数回押す(それなりに勢いよく)

赤いポンプ部分を数回押します。
この時、しっかり空気を押し出してサイフォン形成するために、ある程度は勢いよく押しましょう。

5.サイフォン形成を確認(しばし待つ)

上手くサイフォンが形成され、灯油が勝手に流れていることを確認しましょう。
何回押してもサイフォンが形成されない場合、ポンプに空気漏れがある、タンク液面にホースが届いていないなどの原因が考えられますので対処しましょう。

サイフォンが形成され、灯油が流れている間は特に操作は不要ですが、タンクが倒れたり、油が漏れたりしないように、しっかり監視しましょう。

6.容器がいっぱいになる少し前に空気用つまみを開ける

注ぎたい容器に灯油が十分に入れば、空気用のつまみを開けてサイフォンを破壊します。
この時、サイフォンが破壊されてもホースに残った灯油が流れて来ますので、容器がいっぱいになる少しまえにつまみを開けましょう。

まとめ

ここでは、家庭の中で最も身近なポンプの1つである、手動の手押し式灯油ポンプを取り上げ、サイフォンの原理を理解したうえで正しい使い方を考えました。

手押し式灯油ポンプの使い方は、以下の手順です。

1.タンクの高低差を確認
2.灯油ポンプを差す
3.空気用つまみが閉まっているか確認
4.ポンプを数回押す(それなりに勢いよく)
5.サイフォン形成を確認(しばし待つ)
6.容器がいっぱいになる少し前に空気用つまみを開ける

灯油ポンプの原理を理解し、安全に使用しましょう。

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