こんにちは
みなさんは、「QH曲線」というものを見たり聞いたりしたことはありますでしょうか。
聞きなれない名前かもしれませんが、ポンプに関わる方にとって、非常に重要なものです。
この1枚で、ポンプの能力がわかりますし、あらゆる場面で必要になる1枚です。
今回は、「QH曲線」について解説します。
Q(流量)とH(全揚程)
まず、QH曲線の「Q」と「H」について解説します。
流量 (Q: Quantity) 単位: m3/h
:流体(水)をどれだけ沢山移送することができるか
全揚程 (H: Total Head) 単位: m
:流体(水)を何メートル高いところまで汲み上げることができるか
この、流量(Q)と全揚程(H)の2つは、ポンプの能力を示すのに重要な2大指標です。
どちらか一方の数値が要求を満足しないと、機能を果たせなくなりますので、流量(Q)と全揚程(H)のセットで、ポンプの能力を表します。
QH曲線とは
下のグラフのように、横軸を吐出量(流量)、縦軸を全揚程とし、ポンプ固有の揚程と流量の関係を表したのがQH曲線です。
QH曲線は、「QH線図」、「HQ線図」などとも呼ばれます。あるいは、効率や軸動力などの情報も同時に示し、「性能曲線」や「特性曲線」などとも呼ばれます。
遠心ポンプに代表される非容積式ポンプの場合、吐出弁の開閉操作などにより、ポンプの圧力(揚程)や流量は大きく変化します。ポンプの圧力と流量のどちらか一方を変化させると、それに伴って残りの一方も変化する関係があり、その関係はポンプ固有の関係となります。
ポンプの銘板を見れば、定格点での流量と全揚程だけは把握できますが、他の運転運転状態での情報は記載されません。ポンプの定格点以外の運転状態を知るために、このQH曲線が役立ちます。
例えば、ポンプの流量を定格点よりも低く設定したときの圧力がいくらになるか、逆にポンプの圧力を変化させたときの流量がいくらになるか、という情報が、QH曲線を見れば一目でわかります。
QH曲線を見れば、ポンプの能力が一目でわかる!
✔ 定格点だけでなく、流量を減らしたときの圧力が分かる
✔ 圧力を変化させたときの流量が分かる
QH曲線の使い道 事例
あらゆることに利用できる、便利な1枚です。ここでは使用事例を紹介します。
– ポンプの選定
– 出口配管の設計圧力の確認
– 現場でポンプを回すときの流量の予測
– 性能の低下の確認
事例① ポンプの選定
ポンプに求める全揚程と流量を確保できるかどうか確認します。
事例② 出口配管の設計圧力の確認
締め切り運転時の圧力を確認し、ポンプ出口配管にかかる圧力を確認します。
事例③ 現場でポンプを回すときの流量の予測
特定の流量を流したいとき、QH曲線を見ながら出口圧を調整します。
事例④ 性能の低下の確認
長年ポンプを運転していると、性能劣化します。
系統に圧力計と流量計が設置されている場合、グラフ上に現状の運転点をプロットし、ポンプのQH曲線と比較すれば、新品時の性能からどれぐらい劣化しているかが把握できる。
長期間データ蓄積すれば、適切な交換時期やメンテナンス時期も予測でき、ポンプのメンテナンスに役立ちます。
まとめ
この記事では、QH曲線とは何か、その使い道について非解説してきました。
- ポンプは、流量(Q)と全揚程(H)の2大指標で性能を表す
- QH曲線はポンプ固有の特性を1つのグラフで表したもの
- あらゆる場面で使える便利な1枚
言うなれば、QH曲線はポンプの戦闘能力をあらわにするスカウター。
ポンプと関わる限り、いつでも役に立つQH曲線です。ポンプを扱うときは手元にQH曲線を準備しましょう。
参考になればうれしいです。
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