ポンプやモータの回転方向は非常に大事です。
新たにポンプを据え付けた後の試運転時、あるいはメンテナンス後の運転時にポンプとモータの回転方向を確認します。
この記事では、 ポンプやモータの回転方向の考え方と確認方法をご紹介します
ポンプの正しい回転方向
ポンプの回転方向が逆になるとどうなると思いますか?
一般的な遠心ポンプであれば、インペラの中心から外向きに流体を押し出すことにより、仕事をしています。
プラントの中でのポンプの役割としては、流体を低いところから高いところへ上げる役割を果たしています。
ポンプの回転方向が逆だと、流体を高いところから低いところへ移すような方向へ仕事をします。当然、本来の機能を発揮しません。それどころか、実はポンプの内部構造によっては、機器を損傷させる可能性もあります。
ポンプの回転方向はどちら向きが正しい向きなのか事前に知っておき、運転時に確認する必要があります。
ポンプの正しい回転方向を確認する方法には、図面やポンプに刻印されている矢印、矢印のシールなどで確認するのが最も確実だと思います。
ただ、古いポンプで図面が見つからない場合や、刻印がない場合、シールがはがれていることもあるかもしれません。
このような時、一般的な渦巻きポンプなら、見た目で適切な回転方向がわかります。どうしようもない時の手助けになるかもしれません。
下に例を2パターン用意しました。左は片吸込み、右は両吸込みの遠心ポンプです。
さて、上のポンプの正しい回転方向はどの向きでしょうか。
ポンプはインペラの中心から水を吸い込み、円周方向へ吐出すことにより仕事をしています。
滑らかに出口に送るために形が考えられているはずです。
- インペラの中心から水を吸い込み、円周方向へ吐出す
- 回転方向は滑らかな方向
両吸込みの場合はどちら向きでも滑らかに見えますが、吸込みが両側からになり、滑らかになっているだけ。インペラ中心に流体を吸込み、円周方向に吐き出すことがイメージできれば、回転方向がどの向きが正しいかイメージできると思います。
正解はこちら
モータの正しい回転方向
プラントで一般的に使われる三相交流モーターは結線方法によっては逆回転にもなります。
モータの回転方向は、ポンプの正しい回転方向に合わせる必要があります。
回転方向を確認する方法
ポンプの正しい回転方向を確認
ケーブルの色で確認
カップリングを外し、モーター単体で確認
そのほかに、事前に確認する方法として、検相器というものがあります。これは便利だと思いますので、ご紹介します。
モーターを手で回し、微弱電気の順番を検知することで、正回転か逆回転かを調べることができます。
検相器で回転方向を確認
<メリット>
検相器で回転方向を確認することのメリットは以下です。
- 一度の手回しで確認できる。
- 途中でケーブルが逆のところが複数あっても、最終結果が合っているかどうかで判断できる。
(どこかで結線を2回まちがっていれば正しい回転方向になる場合がある)
運転せずに確認できる - ポンプと一体でも手回しできるようであれば、カップリングを外す必要もない
<デメリット>
検相器で回転方向を確認することのデメリットは以下です。
- 手回しできないものは確認不可能
- 手回しできても、起電力が低くて検知できない場合もある
- ポンプと繋げて回す場合、流体が多少ながれてしまうので注意が必要
電気は目に見えず危険なので、プロが作業します。でも、何をやっているかは知っておいて損はないと思いますので、今回紹介しました。
ご参考になれば幸いです。