【ポンプ】動力の計算と効率の考え方をわかり易く解説

ポンプ

みなさん、こんにちは

この記事では、ポンプの動力の計算方法と効率の考え方について、解説します。

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動力の計算方法

ポンプの動力の計算方法について、解説していきます。

仕事と動力(仕事率)

「仕事」とは、「力」×「距離」で表されます。

2つの仕事を比べたとき、「強い力」で、「遠く」へ物を運んだとき、「大きい仕事」をしたことになります。

しかし、弱い力でも時間をかければ少しずつ物を動かすことができ、最終的に強い力で動かしたのと同じだけの仕事をすることができます。上の仕事の式には、時間的な考えが入っておらず、最終的な結果だけを表しています。

そこで登場するのが動力です。動力は、仕事率とも呼ばれます。単位時間あたりの仕事のことです。

2つの動力を比べたとき、時間が揃えられているので、動力の大小で仕事の能率が良いかどうかがわかります。

物を持ち上げる

以下のように、質量m(kg)の物を高さh(m)まで持ち上げる時を考えてみます。重力加速度をgとすると、質量m(kg)の物には、mg(N)の力がかかっています。また、持ち上げるのにt秒かかったとします。

物を持ち上げるには、物の重力に逆らってmg(N)の力をかけます。そして、高さh(m)まで持ち上げます。この時の仕事は、以下の式で表せます。

持ち上げるのにt秒かかっていますので、動力(仕事率)は、以下の式で表せます。

ポンプの動力

ポンプの仕事や動力を考えてみます。

ポンプは、「流体を高いところへ汲み上げる機械」と言えます。

ポンプの仕事は、「物を持ち上げる仕事」と考えることができ、
ポンプの動力は、「単位時間あたりの物を持ち上げる仕事」と考えることができます。

動力の式をよく見てみると、単位時間あたりの力の部分と、距離の部分に分ければ、ポンプの流量Qと揚程Hになんとなく似ていることが見えてきます。

ポンプの動力を考えるときは、流量Qと揚程Hを考える必要がありそうです。

今、以下のように、体積Q(m3)の流体を、高さH(m)まで1秒で持ち上げると考えます。つまり、ポンプの流量がQ(m3/s)、ポンプの揚程がH(m)という意味です。
ポンプは連続的に仕事をしていますが、流量がQ(m3/s)なので、1秒だけ考えればQ(m3)の流体を1つの物として考えられるためです。

流体の密度をρ(kg/m3)とすると、体積Q(m3)の流体の質量はρQ(kg)であり、重力がρQg(N)かかっています。

ポンプは、流体の重力に逆らって仕事をし、高さHまで持ち上げるので、ポンプが行う仕事は以下のようになります。

持ち上げるのに1秒かかっていますので、ポンプの動力(仕事率)は、以下の式で表せます。

上のように、ポンプの動力は、ρgQHとあらわせることが分かりました。これは、QH曲線で見ると、ポンプの運転点までの四角形の面積で動力を表せていることがわかります。

流量や揚程の異なる2つのポンプを比較する場合、動力で比較することができることが分かります。またQH曲線があれば、それぞれの運転点までの面積の大小で、ポンプを比較することができます。

ポンプの効率

ここまではポンプの動力について考えてきましたが、次に効率について考えてみます。

「効率が良いポンプ」とは、どのようなポンプでしょうか。

小さいポンプでも、少ない電力で回っていれば効率は良いと言えるでしょう。
大きいポンプでも、必要以上に電力を使うポンプであれば、効率は悪いと言えるでしょう。
(ポンプの駆動装置をモータであると仮定して表現)

つまり、ポンプを回すために与えたエネルギーをできるだけ無駄なく使い、「流体を高いところへ汲み上げる」というポンプがすべき仕事を有効にこなせるポンプが、「効率が良いポンプ」ということになります。

逆に、ポンプを回すために与えたエネルギーが無駄に消費され、「流体を高いところへ汲み上げる」というポンプがすべき仕事をせず、多くが損失・無駄・ロスになるようなポンプは、「効率の悪いポンプ」です。ポンプの無駄とは、振動、騒音、水漏れなどのようなものがあてはまります。

ポンプの効率を調べるには、「ポンプに与えたエネルギー」に対し、どれだけ「有効にな仕事」に変換できたかということを割合で表します。

ポンプに与えたエネルギーを100%とし、そのうちの80%を有効な仕事に変換できた場合、ポンプの効率は80%と表現できます。

ポンプに与えるエネルギーをPinput、ポンプによる有効な仕事をPoutput(有効)とすると、ポンプの効率は以下で表せます。

多くの場合、ポンプの軸端にモータを接続し、回転エネルギーが与えられますので、ポンプに与えるエネルギーは、トルクです。

また、ここでは「ポンプによる有効な仕事」と表現しましたが、これは正しくは「理論動力」や「水動力」と呼ばれます。

まとめ

この記事では、ポンプの動力の計算方法と効率の考え方について、解説してきました。

  • ポンプの動力は以下の式で表せる
    P=ρgQH

    P: ポンプの動力(理論動力)
    Q: 流量(m3/s)
    H: 揚程(m)
    ρ: 流体の密度(kg/m3)
    g: 重力加速度
     
  • ポンプの効率は、以下の式で表せる
    η=Pimput/Poutput(有効)×100

    η: ポンプ効率(%)
    Pinput: ポンプに与えるエネルギー
    Poutput(有効): ポンプによる有効な仕事(=理論動力、水動力)

参考になればうれしいです。
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